アーユルヴェーダとは
概要
アーユルヴェーダはインド・スリランカの伝統医学で、その歴史は4000年とも5000年とも言われている世界最古の医学です。
古くから伝わる古典書をもとに、臨床研究も重ね、こんにちまで発展してきました。
ユナニ医学、中国医学と共に世界三大伝統医学とされており、中国医学と同じく世界保健機構(WHO)によって、病気予防に効果のある代替補完医療として公式に奨励されています。
アーユルヴェーダという名は日本ではまだ馴染みのないものかもしれませんが、腹八分は医者いらず、お白湯、乾布摩擦など、アーユルヴェーダに通じる、または影響を受けたと言われる健康法や文化はアジアに多く存在します。また近年、白湯、オイルうがい、ギー、モリンガなどアーユルヴェーダに端を発する健康ブームが増えています。
アーユルヴェーダの治療とトリートメント
インドでは西洋医学の病院とアーユルヴェーダ病院両方が存在します。アーユルヴェーダの医師はBAMSと呼ばれ国家資格を要します。アーユルヴェーダ病院では、病気の方も、特に疾患を持ってない方でも治療を受けることができます。なぜなら、アーユルヴェーダには病気を予防し(予防医学)有益な人生をおくるという考えがあるからです。
インドのアーユルヴェーダ病院にて治療を受ける場合、医師のもと、パンチャカルマやショーダナ と呼ばれる浄化療法を受けることになりますが、日本でよく目にするオイルマッサージ やシロダーラは、その一部(前処置)のトリートメントとなります。
健康と人生、アーユルヴェーダの考え
アーユルヴェーダの考えは、病気になってから対処する西洋医学的な考えとは異なり、病気となる前に予防する、健康な状態を維持することを基本の考えとしています。
そして、アーユルヴェーダの古典書にはこう書かれています。
「アーユルヴェーダとは有益な人生と無益な人生、幸福な人生と不幸な人生、人生にとって良いものと悪いもの、人生の長さ、人生そのものが説かれるものの事をいう」
出典『チャラカ・サンヒター 総論第1章』
アーユルヴェーダは、有益な人生、幸せな人生とは何かを説き、どうすればそのような人生を送れるのか教えるもので、その内容は食事のとり方から、人付き合いについて等、実はとても多岐に渡っています。アーユルヴェーダは、幸福な人生を送るための、こころと身体を整えるための、手引書なのです。
健康な状態とは
アーユルヴェーダでは、体質を3つの性質(ドーシャ)に分類し、それらのバランスが整った状態を健康な状態としています。そして、このバランスが整った心地よい状態は人それぞれ異なるといいます。その人本来の、生き生きとした状態を取り戻し安定させることがアーユルヴェーダの目的であり、治療や健康のためのアドバイスは一人一人異なる、パーソナライズされたものとなるのです。
老化予防としてのアーユルヴェーダ
一般には「老化現象だから仕方ないこと」と片付けられてしまうような症状も、アーユルヴェーダでは病気と捉えます。等しく歳をとっても、表れる症状は人によって異なり、そこには必ず原因があるからです。アーユルヴェーダには「老い」を防止するための教えがたくさんあり、「強壮学」(ラサーヤナ)としてまとめられています。
これからの社会とアーユルヴェーダ
幸いにもわたしたちの平均寿命は延び続け、90年、100年と生きると言われています。
同時に注目されいてるのが、元気に自立して過ごせる「健康寿命」という言葉です。
高齢化社会が進むにつれ、この「健康寿命」を伸ばすことは必要不可欠。実際、予防医学は膨大化する医療費を前に国家戦略的に重要視されています。
神奈川県は、未病プロジェクトとしてアーユルヴェーダに関するセミナーを開催しています。
アメリカをはじめ世界で注目されていたアーユルヴェーダ。今後日本でもますます注目を浴び、身近なものになると考えられます。